1.証券税制について
平成19年度税制改正でまたもや脚光を浴びた“証券税制”。譲渡益課税に適用されている軽減税率10%(所得税7%+地方税3%)の期限が激論の末1年間延長され、平成20年末までとされました。政府税調が廃止方針を打ち出した後の自民党税調による方針の大転換であり、依然として自民党税調の政治力を見せられた感があります。
現行の“証券税制”は、源泉分離課税制度の廃止とセットで誕生し、2003年1月以降施行された比較的新しい制度ですが、証券市場の好不調や政治の影響を度々受け、見直しを繰り返してきました。そのためか、今でもわかりにくく複雑との批判を受けているようです。
今回は、証券税制の中でも、特に注意が必要な項目について、取り上げてみました。
2.注意が必要な項目
〔1〕特例取得費の選択
平成13年9月30日以前に取得した上場株式などの取得費は、平成13年10月1日数値の80%とすることが認められています。(平成22年末までの譲渡につき適用)
つまり、実際の取得価額と比較して、いずれか有利な方(高い方)の価額とすることができます。
〔2〕譲渡損失の3年間繰越特例
年間通算で上場株式などの譲渡損失がある場合、確定申告すればその損失を最大3年間繰越することが認められています。確定申告をすることが特例の適用要件となっています。
〔3〕1,000万円非課税特例
平成13年11月30日から平成14年末までに取得した上場株式などを平成17年〜平成19年末までに譲渡した場合、取得元本1,000万円までは非課税とすることが認められています。「特定上場株式等非課税適用選択届出書」を提出することが特例の適用要件となっています。
〔4〕上記以外で確定申告をした方が得なケースとしては次のようなものがあります。
i) |
複数の口座があって、損失と利益が生じているとき
損失の口座と利益の口座の損益を確定申告で合算することにより、利益の口座にかかる税金を減らすことができ、また、損失の方が大きいときは3年間繰越が可能です。
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ii) |
源泉徴収ありの特定口座で、利益が所得控除額の範囲内にあるとき
確定申告により基礎控除(38万円)などを利用できます。
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iii) |
源泉徴収ありの特定口座で利益がでていて、定率減税枠に空きがあるとき
確定申告により定率減税を利用できます。 |
〔5〕逆に確定申告をした方が損なケースとしては、次のケースです。
i) |
配偶者控除や扶養控除の対象者になっているとき
確定申告により、配偶者控除や扶養控除などを利用できなくなる恐れがあります。
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ii) |
住宅ローン控除などの優遇税制を利用しているとき
確定申告により、控除を受けられる年収の上限を超えてしまい利用できなくなる恐れがあります。
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