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58 個人の増税動向

平成16年度以前の税制改正において平成1月1日から適用されることとなっている増税項目がいくつかあります。また、昨今の政府税制調査会の議論を聞いていると個人にとっては今後さらに厳しい増税が待ち受けているようです。

1.平成17年1月1日から適用される個人の増税項目

平成17年1月1日から適用となる主な増税項目をまとめると以下のとおりです。

項目
内容
公的年金等特別控除の縮小 65歳以上の上乗せ部分が廃止
老年者控除の廃止 65歳以上の老年者控除50万円(住民税48万円)が廃止
住宅取得等特別控除の廃止 対象借入金限度額、控除率は平成20年まで順次縮小
消費税免税点の引下げ 平成15年の課税売上高が 1,000万円(改正前は 3,000万円)越の場合は納税義務者に
簡易課税適用基準の引き下げ 平成15年の課税売上高が 5,000万円(改正前は2億円)越の場合は簡易課税適用が不可に

上の表のように、特に65歳以上の方や個人事業者の方にとっては大きな増税となる可能性があります。個人事業者の場合には多くの方が新たに消費税の納税義務者になることが予想されますので、今後の資金繰りや各種届出書の提出などに注意が必要となります。

2.今後の動向

最近の政府税制調査会の議論の方向性は個人に対する増税の方向で話が進んでいるようです。具体的には平成11年に景気対策を目的として導入された定率減税(所得税20%(上限25万円)・住民税15%(上限4万円))の廃止縮小や配偶者控除などの各種所得控除の廃止縮小について検討されているようです。

特に定率減税については2年間の段階的な廃止が検討されるなどかなり具体的に検討されているようです。仮に定率減税が廃止された場合には国、地方合計で3兆3千億円の増税になるといわれており、個人への影響は夫婦子二人の年収 1,000万円の背邸では年間 178,000円の増税となり大きな影響を受けることになります。

消費税の税率引上げや社会保険料等の負担増なども含め、今後個人に対する負担は益々増えていく方向には間違いないようですので、今後の展開にはしばらく注目が必要です。