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36 平成15年度改正による「新・証券税制」の見直し

自民党の税制改正大網が決定されました。15年1月からスタートする「新・証券税制」については、11月末に行われた特定口座制度の見直しに引き続き、今度の15年度改正においても再び見直しが行われることになりました。 また、今回は配当課税制度についての改正も行われる予定です。

11月末には、一般の保護預り口座から特定口座を開設する手続きの期間を15年12月31日まで1年間延長する、平成4年末までに取得して証券会社に保護預かりとなっている株式については 実際の取得価額と平成13年10月1日の終値の80%とのどちらかで口座に入れることができる、などといった見直しが行われました。

15年度税制改正では、

  1. 当初20%とされていた税率を15年から5年間は10%(所得税7%、住民税3%)の優遇税率とする

  2. 源泉所得税のとられ過ぎ状態が生じるのを解消し、還付申告が 不要になるように源泉徴収税額の計算の仕組みを改める

  3. 住民税も証券会社による源泉徴収だけで済むようにする

  4. 当初は特定口座に入られないとされていたタンス株券などについても、15年4月から16年中までの間に一定のものを入れることができるようにする

などといった見直しが行われます。

源泉分離課税の廃止に伴って創設された特定口座制度については、投資家や証券会社からさまざまな改善要望が出されていましたが、とりあえず、これら一連の改善措置により実施されることになったわけです。3月末に成立する改正租税特別措置法によって制度化されますが、15年1月からの新制度に合わせても実施されます。

なお、特定口座以外でも、今度の証券税制の改正では、所有期間1年超の上場株式等に適用するとされていた10%の暫定税率を、所有期間にかかわらず平成15年から5年間適用する特例に改める、100万円特別控除を平成14年末で廃止する、といった改正が行われます。

このほか、現在、原則として総合課税の対象とされている上場株式等の配当課税については、15年4月からは申告不要の10%源泉徴収で済む方を選ぶこともできるようになります(配当控除適用の総合課税の選択も可能です)。総合課税で高い税率を適用されていた投資家にとっては有利な改正となります。

また、20%の源泉分離課税とされている株式投資信託についても、16年1月からは、申告不要の10%源泉徴収制度が導入され、償還または解約により生じる損失と株式譲渡益との損益通算ができるようになります。

株式譲渡益に 対する課税表