個人の所有する資産が、土地収用法等の規定によって特定の公共事業のために収用された場合や、収用権を背景として買い取られた場合、個人の自由な意思に必ずしも基づくものでないこと、その課税により個人の従前と同様の生活の維持又は生活保持のための再投資(代替資産の取得)を阻害する結果となること等適当でない面があるため、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」と「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除(5,000万円控除)」のいずれか一方の特例を選択することが認められています。収用等の場合、いろいろな名目の補償金がありますので、確認してみましょう。
- 収用等された資産の対価となる補償金:対価補償金
- ①
- 土地の買取りに係る補償金
- ②
- 土地等の一部について収用等があった場合において、土地収用法第74条〈残地補償〉の規定によりその残地の損失について交付を受ける残地補償金
- ③
- 土地等の収用等に伴い、起業者から当該土地等の上にある建物又は構築物を引き家し又は移築するために要する費用として交付を受ける補償金であっても、その交付を受ける者が実際に当該建物又は構築物を取り壊したときの建物移転補償金
- ④
- 工作物を移転するために要する費用として交付を受ける補償金であっても、その交付を受ける者が実際に当該工作物を取り壊したときの工作物補償金
- ⑤
- 立竹木の掘起し、運搬、植付け等の移植に通常必要とする費用の補償金は、移転補償金に該当しますが、棚卸資産等に該当しない立竹木(山林立木は除く。)について移植に通常必要とする費用として算定された補償金の交付を受けた者が、実際に当該立竹木を伐採したときの立竹木移転補償金
- ⑥
- 建物が収用等をされたことに伴いその使用を継続することが困難となったため、転居先の建物の賃借に要する権利金に充てられるものとして交付を受ける借家人補償金
- 資産を収用等されることによって生ずる事業の減収や損失の補てんに充てられるものとして交付される補償金:収益補償金
- ①
- 通常休業を必要とする期間中の収益減に対する営業補償金
- ②
- 賃貸している建物について収用等をされたことに伴う不動産所得の減少に対して支払を受ける家賃減収補償金
- 事業上の費用の補てんに充てるものとして交付される補償金:経費補償金
- ①
- 休廃業等により生ずる事業上の費用の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金
- ②
- 収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産(棚卸資産を除きます。)について実現した損失の補てんに充てるものとして交付を受ける補償金
- 資産の移転に要する費用の補てんに充てるものとして交付される補償金:移転補償金
- ①
- 仮住居の使用に要する費用(仮住居期間中の賃借料相当額、仮住居の賃借に通常要する費用)として交付を受ける仮住居補償金
- ②
- 家財道具、商品、事務用什器等の移転に通常要する費用の補償として交付を受ける動産移転補償金
- ③
- 建物等を移転する場合において、移転先の選定に要する費用、移転旅費その他の雑費として通常要する費用の補償として交付を受ける移転雑費補償金
- 原状回復費、協力料などの補償金:その他の補償金
その実態に応じ、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
ただし、改葬料や精神的補償など所得税法上の非課税に当たるものは課税されません。
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