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長引く景気低迷の中、金融機関のみならず、一般の企業においても不良債権は深刻な問題となっています。“貸倒れ”として処理できるものであれば、そう頭を痛めることもないわけですが、「何とか回収したい」のが人情であり、営業担当者としても「更に回収の努力を」と考えているところでしょう。
一方、“回収不可能”の見きわめがついているものであっても、貸倒れの処理により一挙に赤字転落となる場合、また、これ以上「赤字を増やしたくない」という事情があれば、経営者の思惑としては、問題(貸倒れ処理)の先送りが念頭に浮かぶものと思われます。 |
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ところで、貸倒れ処理は税務計算上実に厄介な問題をはらんでいます。
「貸倒れになったのはいつか」というタイミングの問題です。そして、このタイミングの
判断については、しばしば税務調査官の判定と喰いちがいが生じています。
株の売買について、“もうはまだなり、まだはもうなり”という格言が 古くからいわれていますが、この格言はそのまま貸倒れ処理のタイミングにも通用するものです。 すなわち、行った貸倒れ処理について、“まだ早い”か“手遅れ”のご託宣を受ける例が 多いからです。“まだ早い”はこれから挽回できるものですが、すでに貸倒れの状態に なっているものに対する“手遅れ”は日の目をみる(損金に算入される)ことは ありません。 したがって、不良債権の対応は、希望的観測や自己都合による思惑から離れ、 決算期末における債務者の状況を冷静に見きわめることが肝心です。“言うは易し、行うは難し” ではありますが、タイミングをつかむための方法は他にないと考えます。 なお、実質一部貸倒れの形となる「貸倒引当金」の設定という 手段もありますので、会計事務所と相談することをおすすめします。 |