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160 事業承継税制改正のポイント

平成25年税制改正で事業承継税制が拡充され、中小企業の事業承継に活用しやすくなりました。

1.事業承継対策のポイント

事業承継税制とは、中小企業の後継者が、現経営者から会社の株式を承継する際の相続税・贈与税を軽減する(相続:80%分、贈与:100%分)制度です。

事業承継のステップ 具 体 的 対 策
1.後継者の決定 親族、従業員、第三者など、後継者を決めることが第一のステップです。
2.経営権対策 後継者を決定したら、自社株をいつ、どのように承継させるかが第二のステップです。贈与、売買、遺言等、後継者が会社を引き継げる状況を作ります。贈与や遺言の場合には、遺留分にも注意を払う必要があります。
3.株価・相続税対策 株価対策、相続税対策も重要なポイントです。株価が高いときは、退職金、従業員持株会、種類株式の活用、分社化等さまざまな方法で検討します。
4.納税資金対策 相続税の納税は申告期限内(10か月)に現金一括納付が原則であるため、このための対策を行います。延納、物納、納税猶予制度の活用などを検討します。

2.改正のポイント

  現行制度 平成25年度改正
事前確認制度
  などの手続き
制度利用の前に経済産業省の「事前確認」が必要。 平成25年4月1日以後事前確認を受けていなくても制度利用が可能になりました。 また、提出書類が大幅に簡略化され、株券の発行が不要となります。
後継者 後継者は現経営者の親族に限定 親族に限定されず、適任者を後継者にすることが出来るようになりました。
雇用8割維持要件 雇用の8割以上を「5年間毎年」維持 納税猶予の取消事由となる雇用確保要件について、雇用の8割以上を「5年間平均」で評価に緩和されます。
利子税負担 要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払が必要 承継期間5年超で、当該5年間の利子税が 免除されます。また、利子税率が現行の年2.1%から年0.9%に引き下げられます。
事業再生の場合 相続・贈与から5年後以降は、後継者の死亡又は会社倒産により納税免除 民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、一部支払が免除されます。
役員退任要件 現経営者は、贈与時に役員を退任 贈与時の役員退任要件が「代表者退任」要件に改められます。また、役員である贈与者が認定会社から給与の支給等を受けた場合であっても、贈与税の納税猶予の取消事由に該当しないこととされます。
債務控除方式の
      変更
猶予税額の計算で、現経営者の個人債務・葬式費用を株式評価額から控除するため、納税猶予額が少なく算出されることがある 現経営者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除する方法となるため、 株式の納税猶予をフル活用できるようになります。

※原則として平成27年1月1日以後に開始する相続・遺贈・贈与より適用されます。