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11 “著しい価格の下落”による株式の評価損

上場と非上場では異なる取扱い
上場株価の低迷が続いていますが、会社が保有している株式は、今年4月から、短期的な売買を目的としているものは期末の相場(時価)により、それ以外の子会社株式や非上場株式は取得原価によりそれぞれ評価することとされました。

つまり、売買目的とされる上場株式等を除き、通常保有する株式の簿価は、原則として「取得したときの価格」に据え置かれ、税務上は評価替えによる損益の計上は不可とされるわけですが、下記の一定の事由に基づく「著しい価格の下落」に限り、例外的にこれが認められます。

  取引所上場・店頭登録・証券会社が扱う地方債等(企業支配株式を除きます
  
→「期末時におおむね半値を割っており、かつ近い将来回復の見込みがない場合」

 2 1以外の有価証券(企業支配株式、非上場株式など)
  
→「発行法人に整理・清算・破産・民事再生手続きの開始等が生じた場合。
   又は期末時に1株当たり純資産価額が50%以上下落した場合」


回復の見込みは期末時点で判定する
まず市場価格を有する の上場等有価証券では、その価格の50%超の下落の事実に加え「近い将来の回復見込みの有無」の判定が微妙となってきます。

この点について、先に国税庁が公表した改正・法人税基本通達では「過去の市場価格の推移、発行法人の業況等を踏まえ事業年度末時点で行う」旨が新たに明記されました。

将来の株価動向について、神ならぬ身としては常に予測不可能な要素が介在するのは無理からぬところです。基本的には期末までの相当期間(例えば1年程度)50%超の下落が回復しないところで推移しているケースなどで評価損を計上し、予測不可能な事態により、その後調査段階で相場の若干の回復がみられても、期末時の納税者の判断を尊重し敢えて遡及して否認は行わないというのが、今回の改正の趣旨と解されます。


非上場株式の“時価”算定は?
一方、2 市場価格・気配相場等を有しない非上場株式では、期末時価は、原則として以下により求めることとされています。

 売買実例のあるもの
     
期末前6カ月間の売買実例のうち適正と認められる金額

 公開途上にある株式で公募等が行われるもの
     公募等の価格を参考にして算定した通常の取引金額

 売買実例のないもの
     類似法人で価額があるものに比準して求めた金額

 1〜3以外のもの
     1株当たりの純資産価額等を参考に算定した通常の取引金額

なお、「課税上弊害がない」と認められる場合、特例的に相続税評価額をもって期末時価とする取扱いがあります。ただし、「純資産価額方式」による相続税評価を行うに当たっては、いわゆる“評価差額に対する法人税等相当額”の控除は適用されませんのでご留意ください。