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03 3月決算法人が期末に支出する各種費用

3月決算法人の期末も到来し、5月は法人税・消費税の申告期限となりますが、今回は「誤りやすい項目」として期末直前で支出された各種費用の取扱いをみることにします。

向こう1年以内の前払費用
建物などの賃貸料、駐車場などの施設使用料、空調設備等のメンテナンス代、保険料等々の、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用を、3月末までに4月以降にかかる分も含めて前払いした場合、3月末までに役務提供が行われていないもの=4月以降の期間に対応する「期末未経過分」は、基本的に翌期の費用に繰り越すことになります。

ただし「支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもの」=短期前払費用は、未経過分も含めて支出時の損金とすることが認められます。この取扱いは新聞・雑誌などの定期購読料(=物品購入代)についても、実務上適用されます。

例えば、役務提供の開始は1年以内であっても、その終了が1年を超える場合は、1年を超える部分のみならず、期末までに未経過の全額を翌期に繰り越すことになるのでご留意下さい。


消耗品など
事務・作業用消耗品、広告用のテレホンカード、宣伝用サンプルなどの「消耗品その他これに準ずる棚卸資産」で、3月末までに未使用のものは、基本的にその取得価額を翌期以降に繰り越すことになります。

ただし、テレホンカード

 1 毎期おおむね一定数量を購入し、
 
経常的に消費するもので、
 
購入時の費用とする経理処理

を継続して行っているものについては、未使用分も含めて購入時の損金とすることが認められます。

この取扱いは、購入単価が高額で、しかも事業年度によって在庫数量に格差があるものについては適用されませんのでご留意下さい。


パソコン等の器具・備品
取得価額100万円未満の「パソコン+付属装置」などの一定機器、又は10万円未満のパソコン・ワープロ等のOA機器一般、事務用デスク・椅子、テレビ等の電気製品などの減価償却資産は、それぞれの法定耐用年数による償却計算(=『事業供用を開始した日から期末日まで』の期間に対応する償却費を限度とする)に代えて、その取得価額の全額を、取得した初年度の損金とすることが認められます。 

ただし、いずれも「期中で事業供用されていること」が前提となります。3月中に取得し3月中に事業併用していればOKですが、事業供用が4月以降になれば、翌期の損金の額に算入することになります。 

なおトータル100万円未満で「パソコン+付属装置」を、今3月期で全額償却する場合、両者は「一の計画により同時に設置されることを目的に購入」され、かつ「両者とも今期中に事業供用」されている必要があります。

その場合、それぞれの納品・設置日に若干のタイムラグが生じていても(例;パソコンが1ヶ月早く納品されている)、「同時に設置したもの」とみなすことができます。


パッケージ・ソフトを購入した場合は?
3月末までに購入するパッケージ・ソフトウェアは「繰延資産」に該当することから、20万円未満のものは期末までに未使用であっても、購入時の損金とすることができます。

4月1日以降購入するものから「減価償却資産」とされますので、”少額基準”は10万円となり、かつ期中で未使用のものは損金とされなくなるのでご留意下さい。