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71 新会社法での有限会社の対応ポイントは?

ご存じのとおり「会社法」案が平成17年6月に国会で可決・成立し、平成18年5月頃に施行される見込みとなっています。新会社法は会社に関する制度を抜本的に見直したものとなっており中小企業にも大きな影響があります。その中でも現在ある有限会社はどのように対応したらいいでしょうか。

1.株式会社と有限会社の一本化

新会社法では有限会社制度は廃止され、平成18年の新会社法施行後は有限会社を設立することができなくなります。現在ある有限会社も新会社法施行後は法律上株式会社として存続になりますが(法形態としては解散、設立をする)、有限会社の商号を用いたまま「特例有限会社」として存続することもできます。

それでは、特例有限会社と株式会社のどちらを選択したらいいのでしょうか。
特例有限会社は原則として現行の有限会社に準じた措置がとられており、役員の任期がなく、決算公告の必要もありません。また、新会社法施行後も商号中に有限会社の文字を使用する必要があるため、商号変更を行う必要がなくコストが抑えられます。一方、株式会社を選択した場合は商号変更等のコストがかかりますが、一般的に有限会社より信用度が高くなると思われ、また新会社法施行後は新たに設立される有限会社はなくなるため、割合的には今後株式会社が増えていくことになると考えられます。

どちらを選択するかの主なポイントは以下の通りとなります。

有限会社のままの場合
(特例有限会社)
株式会社に商号変更した場合
取締役の
任期規制
任期規制がない
任期規制あり(最長10年)
決算公告義務
義務がない
義務がある
登記
登記の変更は特に必要なし
解散・設立の登記を行う必要あり
その他
有限会社のままであることにつき現状では特に期限なし
一般的に信用度が高い
取締役会設置会社でなければ取締役を増やす必要はなし(1人のままでもOK)


2.特例有限会社を選択した場合の注意点

それでは特例有限会社を選択した場合の注意点としてはどのようなものがあるでしょうか。
特例有限会社では監査役を置くことはできますが、新会社法で新たに創設された会計参与を置くことはできません。したがって、今後銀行からの要請や会計処理の透明性を高めるなどの理由から会計参与を置く必要がある場合には、株式会社に移行する必要があります。また、株式会社への移行はいつでも行えますが、一度株式会社へ移行するとその後特例有限会社へは戻れませんので、十分な検討が必要となります。