平成17年度税制改正において企業再生の円滑化を支援するための税制の整備が図られました。
我が国における企業再生の分野は、従来は倒産分野に精通した法律事務所などを中心に業務が進められてきましたが、今日では事業の毀損と経済的な損失を最小限に抑えるために、国家的なプロジェクトとして、官民(行政、金融機関、再生ファンド、法律事務所、会計事務所など)一体となった企業再生支援の枠組みができています。
企業再生を支援する税制としては、従来から、平時では認められない評価損や期限切れ欠損金の損金算入などの特別な扱いが認められてきたものですが、原則として法的手続(会社更生手続、民事再生手続など)をとった場合に限られていました。
しかしながら、法的手続きの申立をした場合、いくら再生手続であったとしても“事実上の倒産”といった烙印が押されかねず、信用の著しい毀損を招くため、私的整理手続きに頼らざるを得ない実態があります。
平成17年度税制改正においては、このような社会の実情に配慮し、かつ、迅速な企業再生を支援する観点から、民事再生法等の法的整理手続きに加え、これに準ずる一定の要件※1を満たす私的整理手続きにおいても、債務免除が行われた際の評価損の損金算入※2及び期限切れ欠損金の優先利用を認めることとされています。