会社経営が破綻してしまったが、破談原因が明確で本業の業績が好調な時には、債務の減免、支払猶予等を受けて会社再建を行うことが一般的ですが、会社再建手続きの形態には、裁判所の関与のもとで法的に再建手続きを行う民事再生手続き、会社更生手続き、会社整理手続きがあります。また、裁判所の関与がなく私的に再建手続きを行うものに任意整理があります。
法的手続きは裁判所の関与のもとに行われるため、手続きの透明性、公正性が高く、計画案が可決されれば法的拘束力を持ちます。一方私的手続きは裁判所の関与がなく行われるので、手続きの透明性、公正性に欠けますが、私的に行うため、信用の失墜の程度が低く、低コストで柔軟な処理が可能な点に特徴があります。
法的手続き、私的手続きのどちらを選択したとしても債務の減免を受ける場合には、減免を受けた金額が収益(債務免除益)となり、課税が発生してしまう場合には会社の再建を妨げる要因となってしまいます。したがって民事再生手続き、会社更生手続きにおいては、再生手続きを支援するため、任意整理には認められていない青色繰越欠損金の繰越控除期間である7年を経過してしまっている欠損金や棚卸資産・固定資産等の評価損の損金算入が認められており、現状では任意整理に比べ税務的に有利となります。
しかし、平成16年12月に発表された平成17年度税制改正大綱では、早期の会社再建をさらに支援するため、民事再生手続きや会社更生手続き以外にも、一定の要件を満たす任意整理(私的整理ガイドラインに基づく私的整理等)に7年経過欠損金や棚卸資産等の評価損の損金算入を認めることが記載されています。最終的には3月末頃に国会で承認され明らかになると思いますが、再建の時期によっては手続きの選択肢が広がる可能性があるので、十分注意が必要です。