前の解説へ 次の解説へ

53 土地・住宅税制の改正点

平成 16 年度の税制改正により土地・住宅税制についていくつかの改正がありました。以下その主なものをみていきたいと思います。

1.長期譲渡所得の税率の引き下げ

平成 16 年 1 月 1 日以後に行う土地・建物の譲渡から税率が以下の通り変更されました。

改正前
改正後
26 %
(所得税 20 %、住民税 6 %)
20 %
(所得税 15 %、住民税 5 %)

2.長期譲渡所得の100万円特別控除の廃止

平成 15 年までは所有期間5年超の土地・建物を譲渡した場合には課税される譲渡所得の金額から 100 万円の特別控除が認められていました。しかし、平成 16 年度の税制改正によりこの 100 万円特別控除が廃止されました。

3.土地・建物に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の不適用

平成 15 年度までは土地・建物を譲渡した場合に生じた損失については、原則として他の所得との損益通算が認められていました。すなわち、譲渡損失を給与所得、不動産所得等から控除することができました。さらに、青色申告者については、特別のものを除き損益通算をした後に残った純損失の金額について 3 年間の繰越控除も認められていました。しかし、平成 16 年度の税制改正により譲渡損失の金額は土地・建物等に係る譲渡所得以外の所得との通算及び損失の繰越ができなくなりました。

4.特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等

所有期間が 5 年を越える居住用財産の譲渡をして譲渡損失が発生した場合には、住宅借入金残高から譲渡対価を控除した額を限度として、他の所得との損益通算後の純損失の金額について 3 年間の繰越控除を認める制度が設けられました。
また、特定居住用財産の買替えをした場合の譲渡損失の繰越控除制度が 3 年間延長され、年末において買換資産にかかわる住宅借入金を有していない場合でも適用されることとなりました。

以上のとおり本年度の土地・住宅税制に係る改正は有利な改正と不利な改正が入り乱れています。そのため、実際に土地・建物の売却を予定されている場合には慎重に検討する必要があるといえます。