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34 特定口座制度の見直し

平成15年1月から実施される「特定口座制度」が見直されることに なりました。 この制度は、株式譲渡益の源泉分離課税の廃止にともない、証券会社が納税手続きを 代行することによって個人投資家は簡易な申告を行うことが出来るものです。

盛んに報道されているように、この9月から準備口座の申込みが 始まっていますが、いざ手続きとなると、特定口座は複雑で理解できない、 特定口座を利用した方が便利なのか、自分の持っている株式はどうすれば有効なのか わからない、などといった声が日に日に高まっていました。

そのため、財務省と国税省は、証券業界から制度の改善点や要望について ヒアリングを行っていましたが、その結果、証券会社、つまり投資家側からの改善要望の ほとんどが受け入れられることになりました。

特定口座の申込みや、現在の保護預かり口座からの移管などといった手続き面については、 11月中に行われる予定の租税特別措置法の政省令の改正によって、源泉徴収制度の 仕組みなどについては、来年の通常国会に提案される措置法の改正によって見直されることに なったわけです。

今のところ、年内の廃止が決定している源泉分離課税制度が 再び延長になるとかいった「大どんでん返し」は無いはずですが、これも、今度の12月に 決まる「平成15年度税制改正大網」がどのようになるかを見るまでは目が はなせないでしょう。

なにしろ、源泉分離選択課税制度の廃止が最初に国会で決まったのは 平成11年3月の税制改正で、その時には平成13年3月31日までで廃止とされて いたのです。

しかし、その後、13年3月の国会で2年間延長して15年3月31日までに、 そして、昨年13年11月に行われた証券税制の大改正の一環で、3カ月前倒しの 14年12月31日まで、とされたように、経済状況に応じて変わっているからです。 源泉分離の存続論が通らないとも限らないわけです。

なにはともあれ、今年中、平成14年12月末までに特定口座の開設の 申込みをしないと、現在の保護預り口座からの株式の移管ができなくなってしまうという 取扱いは見直され、来年になってからの開設でも株式の移管は出来るようになりました。 見直しのイメージイラスト

ですから、特定口座にした方が有利なのか、便利なのか、 特に平成14年末までに購入した株式については、もう少し時間をかけて検討することが できるようになったわけです。

また、来年の通常国会では、特定口座での源泉徴収の仕組みを 改善するための改正が行われます。現在予定されている仕組みでは、源泉徴収制度を 選択すれば確定申告が不要になるはずだったのですが、最初の方の取引で利益が出ていても、 その後の損失が大きいケースでは、とられすぎとなっている源泉所得税が翌年の確定申告で 還付を受けるまで返ってこない、といったことが起こるからです。

この点については、証券会社が毎月納付する仕組みから、 一年間分を一括して納付する仕組みにする制度に改めることで改善されることに なる予定です。