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32 新しい固定資産税評価額が付されていない増改築物件の評価

家屋に増改築をすると、その分家屋の資産価値が上がるため、 固定資産税評価額はその増改築分を加味した価額に評価替えされることになります。 しかし、固定資産税の評価替えは3年に1度です。

増改築後の新しい固定資産税評価額がまだ付されていないという 物件を相続した場合、または贈与された場合の財産の評価額はどうなるでしょうか。 増改築分が加味された固定資産税評価額が存在しないからです。

財産の評価額イメージイラスト 固定資産税の評価替えは3年に1度、1月1日現在の現況をもとに 評価が行われます。増改築が行われた場合には、評価替えの基準年度ではなくても 再評価が行われることになっていますが、再評価が相続税の申告期限までに 間に合わないこともあるようです。

増改築分が加味されていない固定資産税評価額で家屋を評価して 相続税の申告をすれば、調査で否認されるということになってしまいます。

評価替えが行われた後に増改築が行われ、再評価額が まだ付されていないという場合には、その物件の近くにある、同様の材質、工法で 増改築が行われた類似状況にある物件の評価額を参考にして評価するとされています。 しかし、実際にはそのように都合よく準用できる建物があるわけではありません。

そこで、こうした場合には、その増改築にかかった費用の70%相当額で 評価するとされています。増改築から相続・贈与までの間に時間があるケースでは、 増改築費用から減価償却費相当額を差し引いた額の70%で評価されます。建築中の家屋を 相続した場合と同じように評価することになるわけです。

この増改築費用の70%として評価する方法は、実際に市町村に再評価を 依頼して付されることになる評価額より高くなってしまいますが、増改築分を考慮せずに 相続税や贈与税の申告を行い、それが調査で判明すれば財産の評価が正しくなかった ということになるのでやむを得ないところです。

増改築家屋の評価については、一昨年に行われた税務行政監察で 「新しい評価額が付されていない増改築物件の評価方法が統一されていない」との指摘が されていました。そのため、国税庁では、増改築後、再評価がされていない家屋について 相続・贈与が合った場合には、

1.市町村の税務当局に固定資産税評価額の 再評価を依頼し付された額、
 または、建築条件など状況が類似する近隣の増改築済み家屋の固定資産税評価額

若しくは、

2.その増改築部分の再建築価額から 償却費相当額を控除した価額の
 100分の70に相当する金額によって評価することになる

というルールを、財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)の中に 明記することになったのです。

なお、評価倍率表には、路線価の付されていない宅地の 固定資産税評価に使う評価倍率のほか、家屋や、地域性を考慮して国税局ごとに 定められる財産(果樹、立木、電話加入権など)の評価方法なども記載されています。