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29 耐震工事費用も住宅ローン控除の対象に

平成14年度の所得税の改正によって、住宅に耐震工事を行った費用も住宅ローン控除の対象にできることになりました。

ご存じのように、住宅借入金等特別控除は、一定の住宅ローンを組んで、

(1) 住宅の新築または取得をしたとき
(2) 増改築・模様替え等をしたとき
(3) 住宅の新築または取得とともに住宅の敷地を取得したとき

に適用されるもので、平成14・15年に居住の用に供した場合には、年末借入金残高の1 %(最高50万円)が10年間、所得税額から控除されます。

今回の改正で、この(2) の増改築等の範囲に「家屋について行う地震に対する一定の安全基準に適合させるための修繕または模様替え」が追加されることになりました。

平成7年の阪神・淡路大震災をきっかけに、地震に対する住宅の安全性への関心が高まってきたため、住宅税制の面からも耐震性を向上させる工事を 促進することになったわけです。

住宅ローン控除は住宅の新築や既存住宅の取得ばかりでなく、増改築や修繕・模様替えを行った場合にも適用を受けることができます。

適用の要件は、 工事費用が100万円を超えるもので、 その工事が自己の居住用以外の部分についてもされる場合は居住用部分の工事費用が総額の2分の1以上であること、 工事をした後の家屋の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること、 床面積が50平方メートル以上であること (マンション等の場合は区分所有する部分の床面積が50平方メートル以上)などとされていて、 たとえば次のような工事も対象になってきます。

台所・バス・トイレなどの床や壁の全部について行う修繕または模様替え
(台所の床全体の張替え工事と併せてシステムキッチン等の設置を行う工事も該当します)
家屋の外壁や柱、床などのいずれか一以上について行う過半の修繕または模様替え
(トタン屋根の全体の2分の1を超える部分を瓦ぶきに模様替えをする工事など)
増改築工事と併せて行う家屋の設備等の取替え等の工事
(増改築工事をした部分と一体として利用される
電気・給排水・衛生設備等の取替えや取付け工事など)

税制改正によって、このような増改築に新たに耐震工事を加えられました。耐震工事の費用について 住宅ローン控除を適用するには、建築基準法などによる安全基準をクリアしていることが必要です。 確定申告では、増改築の場合と同じように、建築士による証明書(増改築等工事証明書)を添付することになります。

したがって、工事の範囲・内容については建築士、施工業者等によく確認する必要があります。

工事の対象例イラスト