昨年12月に令和6年度税制改正大綱が公表されました。その主な内容は次の通りです。
1. 法人税関係
- [1]
- 賃上げ促進税制の見直し(所得税も同様)
- (1)
- 大企業向け
- イ)
- 適用要件としてマルチステークホルダー方針(賃上げの方針や取引先等への配慮についての方針)の公表が必要な者に「常時使用する従業員数が2,000人超のもの」が加えられます。
- ロ)
- 原則の税額控除率が10%(現行:15%)に引き下げられる一方、控除率の上乗せ措置が拡充され、最大で35%(現行:30%)の控除率とされます。
- (2)
- 中堅企業向け
従来の大企業のうち、常時使用する従業員の数が2,000人以下の企業を「中堅企業」と位置付け、適用要件は上記(1)と同様としつつ、上記(1)に比して控除率の上乗せ措置要件の緩和が行われます。
- (3)
- 中小企業向け
- イ)
- 控除率の上乗せ措置が拡充され、最大で45%(現行:40%)の控除率とされます。
- ロ)
- 新たに繰越税額控除制度が設けられ、控除限度超過額は5年間の繰越しができることとされます。
- (4)
- 適用時期
令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度において適用されます。
- [2]
- 交際費等の損金不算入制度の見直し
損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準が1人当たり1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げられ、令和6年4月1日以後に支出する飲食費から適用されます。
2. 所得税関係
<所得税及び個人住民税の定額減税>
居住者の合計所得金額が1,805万円以下である場合に、本人及び配偶者を含めた扶養家族l人につき、令和6年分の所得税から3万円、令和6年度分の個人住民税から1万円の特別控除が実施されます。
3. 法人事業税
<外形標準課税の見直し>
- (1)
- 減資への対応
大企業が資本金1億円以下へ減資することによる課税逃れに対応するため、対象法人の現行基準(資本金1億円超)は維持しつつ、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が資本金1億円以下になった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には外形標準課税の対象とされます。
- (2)
- 100%子法人等への対応
親会社の信用力等を背景に事業活動を行う子会社への対応として、資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下であって、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものが外形標準課税の対象とされます。
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