昨年12月に令和5年度税制改正大綱が公表されました。その主な内容は次の通りです。
1. 法人税関係
- (1)
- 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
法人税額に対し、税率4〜4.5%の新たな付加税が課されます。なお、課税標準となる法人税額から500万円が控除されることとなるため、中小法人等の場合、課税所得約2,400万円(法人税額4,912千円)までは新たな付加税は生じません。施行時期は令和6年以降の適切な時期とされています。
- (2)
- 研究開発税制の見直し(所得税も同様)
- 一般型、中小企業向け
投資を増加させるインセンティブ強化のため、試験研究費の増加率に応じたメリットを高めるための特例措置に係る税額控除率を見直した上で適用期限の3年延長、一般型に係る控除上限額につき法人税額の20%〜30%(従来の25%から5%の範囲内で加減算)とする特例措置の創設等が行われます。
- 特別試験研究費
対象となる特別試験研究費の範囲から研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び委託研究に係る試験研究費が除外される一方、特別新事業開拓事業者との共同研究及び委託研究に係る試験研究費の額(税額控除率25%)、試験研究費の額のうち新規高度研究業務従事者に対する人件費の額(税額控除率20%)が加えられる等の見直しが行われます。
- (3)
- 中小企業の設備投資等に係る優遇措置の延長(所得税も同様)
中小企業経営強化税制及び中小企業投資促進税制につき、対象資産の見直しが行われた上、適用期限が2年延長されます。
2. 所得税関係
- (1)
- 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
所得税額に対し、当分の間、税率1%の新たな付加税が課されます。これに伴い、復興特別所得税の税率を1%引き下げるとともに、課税期間が延長されます。施行時期は令和6年以降の適切な時期とされています。
- (2)
- NISA制度の見直し
NISA制度の抜本的拡充・恒久化が行われます。
3. 消費税関係
インボイス制度につき制度の円滑な導入のため、次の見直しが行われます。
- 免税事業者がインボイス発行事業者又は課税事業者選択届出書を提出したことにより課税事業者となった場合の納税額を課税売上に係る消費税額の2割とする負担軽減措置の導入(制度開始後3年間)
- 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者の課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める(制度開始後6年間)
- 売上に係る対価の返還等に係る税込金額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務を免除
- 令和5年4月以降の登録申請につき、登録申請書に「困難な事情」の記載を求めることを要しない
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