本年4月に、「国際観光旅客税」が創設されました。国際観光旅客税は、原則として、船舶又は航空会社(特別徴収義務者)がチケット代金に上乗せする等の方法で、日本から出国する旅客(国際観光旅客等)から徴収(出国1回につき1,000円)し、これを国に納付するものです。
1. 制度の概要
納税義務者 |
船舶又は航空機により出国する旅客 |
非課税等 |
- 乗継旅客(入国時24時間以内に出国する者)
- 外国間を航行中に、天候その他の理由により本邦に緊急着陸した者
- 2歳未満の者 など
|
税率 |
出国1回につき1,000円 |
徴収・納付 |
- (1)
- 国際旅客運送事業を営む者による特別徴収(国際旅客運送事業を営む者の運送による出国の場合)
国際旅客運送事業者を営む者は、旅客から徴収し、翌々月末までに国に納付
(注)国内事業者については税務署、国外事業者については税関に納付
- (2)
- 旅客による納付(プライベートジェット等による出国の場合)旅客は、航空機等に搭乗する時までに国(税関)に納付
|
適用時期 |
平成31年1月7日以後の出国に適用(同日前に締結された運送契約による国際旅客運送事業に係る一定の出国を除く) |
2. 経過措置
施行日は平成31年1月7日とされており、同日以降に日本から出国する者が課税対象となりますが、同日以降の出国でも同日前に運送契約をしていれば課税されないとする経過措置が設けられています。例えば、1月6日までにl月7日以降の行程のツアーなどに申込み、支払いを済ませていれば課税対象外となりますが、1月7日前に運送契約を締結していても、オープンチケットや回数券といった出国日を決められていないものでも施行日以後に出国日を決めた場合や施行日以後に出国日を変更する場合などは課税対象となります。
3. 国際観光旅客税の経理・税務処理
従業員が海外へ出国した際の「国際観光旅客税」を法人が負担した場合 |
(所得税法上の取扱い)
従業員の出国が法人の業務の遂行上必要なものである場合には、法人が負担した「国際観光旅客税」に相当する額は、旅費として非課税とされます。一方、従業員の出向が法人の業務の遂行上必要なものでない場合には、その従業員に対する給与として所得税の課税対象となります。 |
(法人税法上の取扱い)
従業員の出国に伴い、法人が負担する「国際観光旅客税」に相当する額については、法人の業務の遂行上、必要なものか否かによって、旅費交通費やその従業員に対する給与として取り扱われますが、いずれの場合であっても所得金額の計算上、損金の額に算入されます。 |
個人事業主が海外出張した際に支払う「国際観光旅客税」 |
個人事業主の海外出張について、事業遂行上直接必要と認められる場合には、国際観光旅客税を支払った日の属する年の事業所得の計算上、必要経費に算入できます。ただし、業務遂行上直接必要と認められない期間がある場合には、期間の比率等によって按分することになります。 |
|