平成28年12月8日に平成29年度税制改正大綱が公表されました。大綱のポイントは以下の通りです。
1. 個人所得課税
(1)配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
配偶者控除の対象となる配偶者の年収上限が150万円(現行:103万円)に引き上げられ、配偶者特別控除の対象となる配偶者の年収上限が201万円以下(現行:141万円)に引き上げられます。
[1]配偶者控除
居住者の合計所得金額 |
控除額 |
控除対象配偶者 |
老人控除対象配偶者 |
900万円以下 |
38万円 |
48万円 |
900万円超950万円以下 |
26万円 |
32万円 |
950万円超1,000万円以下 |
13万円 |
16万円 |
[2]配偶者特別控除
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額を38万円超123万円以下(現行:38万円超76万円未満)とし、その控除額については、合計所得金額900万円以下、同900万円超950万円以下、同950万円超1,000万円以下の居住者ごとに分けた控除額となります。
※配偶者控除と配偶者特別控除については、合計所得金額が1,000万円を超える居住者については適用できないこととなり、いずれも平成30年分以後の所得税について適用されます。
2. 資産課税
- (1)
- 事業承継税制の見直し
災害時等における雇用確保要件が緩和され、相続時精算課税制度との併用が認められます。
- (2)
- 居住用超高層建築物に係る課税の見直し
高さが60mを超える建築物のうち、いわゆるタワーマンションに係る固定資産税、都市計画税が階層の差異による取引価格の傾向を反映するための補正率により補正されます(高層階は増税、低層階は減税)。
この改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日以前に売買契約締結がされた住戸を含むものを除く)について適用されます。
3. 法人課税
項目 |
内容 |
研究開発税制
の見直し |
総額型の税額控除率(現行:8〜10%、中小法人12%)を試験研究費の増減割合に応じた税額控除率(6〜14%、中小法人12〜17%)とする制度見直し、高水準型の適用期限が2年延長されました。また、試験研究費の範囲に、第4次産業革命型の「サービス」の開発費用が追加されました。 |
所得拡大促進税制
の見直し |
大法人について、平均給与等支給額要件の見直し(現行:前年度超→前年度比2%以上増)がされました。また、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加した場合の控除税額の拡充(現行:雇用者給与等支給額の24年度からの増加額の10%→雇用者給与等支給額の前年度からの増加額の2%(中小法人12%)を加算)されました。 |
役員給与の見直し |
役員給与等の損金算入要件の見直し(利益連動給与について、株価に連動したものや、複数年度の利益に連動したものを損金算入の対象に追加する等)が行われました。 |
中堅・中小企業
の支援 |
地域中核企業向け設備投資促進税制が創設(地域未来投資促進法(仮称)に基づく設備投資に対して特別償却または税額控除が出来る制度)されました。中小企業投資促進税制の拡充が行われ、全ての器具備品・建物附属設備が対象に追加されました。 |
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