前の解説へ 次の解説へ

196 相続税の誤りやすい事例

相続税法の改正により課税対象者が増えています。相続税の誤りやすい事例について、整理しました。

1. 誤りやすい事例

主な誤りやすい事例は下記の通りです。

項目 内容
2割加算 被相続人の一親等の血族と配偶者以外の相続人は、その相続人の税額の20%を加算した金額を納付します。
例)被相続人の兄弟姉妹、甥や姪、孫養子(代襲相続に該当する場合を除く)
法定相続人の数 「法定相続人の数」とは、民法に規定する相続人の数(相続人のうち相続を放棄した人があっても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数)をいいますが、被相続人に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、次のそれぞれに掲げる人数までとなります。
(1)実子がいる場合:1人、(2)実子がいない場合:2人
生命保険金とともに
払戻しを受ける
前納保険料
みなし相続財産とされる保険金には、保険金とともに払戻しを受ける前納保険料も含まれます。
被相続人以外の
名義の財産
名義に関わらず、被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となります。
被相続人の
準確定申告に係る
還付金等
還付請求権は(本来の)相続財産であり、相続税の課税対象となります。
支給されていなかった
年金を受け取った場合
死亡したときに支給されていなかった年金を遺族が請求し支給を受けた場合は、その遺族の一時所得(所得税)の対象となり、相続税は課税されません。
保険事故が
発生していない
生命保険契約
相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない「生命保険契約に関する権利」の価額は、解約返戻金相当額によって評価します。
お墓の購入費用に
係る借入金
生前に被相続人が購入したお墓の借入金など、非課税財産の取得に係る未払金(債務)は、相続税の計算上、債務として差し引くことはできません。
未納の
固定資産税・住民税
被柑続人の未納税金は債務控除の対象となる債務に該当します。
返済が免除される
住宅ローン
団体信用生命保険契約により返済が免除される住宅ローンは、相続人が支払う必要のない債務ですので、相続税の計算上、債務として差し引くことはできません。
相続開始前3年以内の
贈与財産
贈与税の基礎控除額(110万円)以下の贈与財産や死亡した年の贈与財産の価額も加算することになります。

2. 相続税の申告

(1)相続税の申告が必要な人

被相続人から相続などによって財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額(相続財産等の合計額)が遺産に係る基礎控除額を超える場合に、その財産を取得した人は相続税の申告をする必要があります。

遺産に係る基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

(2)一般的な相続税の申告手続のスケジュール

一般的な相続税の申告手続のスケジュール