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190 電子帳簿保存法 - スキャナ保存制度見直し

平成27年度税制改正において、スキャナ保存の要件のうち一部が改正されました。

1. 電子帳簿保存法におけるスキャナ保存

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存とは、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律、いわゆる電子帳簿保存法において規定されている国税関係書類の保存方法の一つです。領収書、請求書、見積書等の国税関係書類について、真実性・可視性を確保するための一定の要件の下、スキャナによる保存(スキャナを利用して作成された電磁的記録による保存)を認めるものです。

2. 改正の概要

事項 改正前 改正後
スキャナ保存の
対象となる
契約書・領収書等
記載金額が3万円未満のものに限る 金額に関わらず全ての契約書・領収書等
電子署名
タイムスタンプ
(※)
必要 不要
タイムスタンプのみ必要
適正事務処理
要件
〈新設〉
(1)
相互けん制
相互に関連する各業務について、それぞれ別の者が行う体制の構築
(2)
定期的なチェック
当該各事務に係る処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続を定める
(3)
再発防止体制の構築
大きさ情報
カラー保存要件
「書類の大きさ情報」の保存
「カラー階調」による読み取り
「書類の大きさ情報」の保存不要
「白黒」による読み取りが可能
タイムスタンプ:電子文書の作成日と非改ざん性の証明となるもので、財団法人日本データ通信協会が定める基準を満たすものとして認定された時刻認証業務によって付与され、その有効性が証明されるもの

3. 手続き等

適用時期 平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用されます。
手続き 改正後の要件でスキャナ保存しようとする場合には、電子データの保存により書類の保存に代える3か月前の日までに「申請書」を提出する必要があります。
なお、改正前の要件に係る承認を受け、改正後の要件による保存を行うため「申請書」を提出し承認を受ける場合、改正前の要件に係る承認の「取りやめの届出書」を提出する必要はありません。
既にスキャナ保存の承認を受けている書類であっても、平成27年9月30目以後に「申請書」を提出していない場合、従来の要件で保存することになります。
スキャナ保存の可否 決算書関係書類 ×、領収書・契約書及びこれらの写し ○、請求書・納品書等 ○、見積書・注文書等 ○

4. 留意点

平成28年1月1日から新しい要件でスキャナ保存しようとする場合、申請書の提出期限となる「3か月前の日」が平成27年9月30日となるため、申請書を提出できる日が限られています。

また、スキャナ保存を実施するためには、電子計算機処理システムだけでは対応できず、要件を具備した電子計算機処理システムを準備するほか、事務手続きや規定を整備する必要があります。