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16 住宅資金贈与の特例の改正

1月1日以後の贈与から550万円まで非課税
前回お知らせしたとおり、平成13年度改正により、今年1月1日以後行なわれる贈与から、贈与税の基礎控除がこれまでの60万円から110万円に引き上げられました。これに伴い、平成13年1月1日以後行われる贈与から、「住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例」における非課税限度額も、300万円から550万円に引き上げられています。

同特例は、今回の改正により適用対象に以下の2ケースが新たに加えられるともに、適用期限が3年間建長され「平成15年12月31日まで」とされました。

1番 増改築工事費用1,000万円以上または増改築による床面積の増加が50平方メートル以上であるものに係る資金の贈与

2番 贈与資金を取得した日前5年以内に居住していた本人又は配偶者所有の住宅を、贈与の行われた年の翌年末(12月31日)までに売却する揚合における住宅買換え資金の贈与

以下の基本的な要件は従来と変わりません

・贈与者が本人の祖父母又は両親であること。
・贈与資金の全額をマイホームの購入等に充てること。
・贈与を受ける本人の合計所得金額が
注)1,200万円以下であること。

注)売却した際に3,000万円特別控除の特例の適用を受けた場合は、特別控除後の金額で判定します。


金銭による連年贈与はここに注意
ところで、今回の基礎控除及び特例贈与の非課税限度額の引き上げにより、将来の相続税対策として「生前贈与」を改めて検討されているムキもあると思います。

課税最低限である基礎控除額や税率構造を単純に比較すると、基本的には相続税の方が負担は軽いということはいえそうです。相続税の基礎控除は5,000万円+1,000万円×法定相続人数」により、相続人1人の場合6,000万円。一方の贈与税は、引き上げが行われたものの、1人につき年間110万円。

更に、両者とも10%から70%までの「超過累進税率」となっていますが、贈与税の方が、その刻み方が急激にランクアップする構造となっています。ただし高額な財産を有する場合は、事前に財産そのものを“小口化”して贈与税を納めておくことで「生前贈与」のメリットが出てきます。

実施に当たってはトータルなプランニングが不可欠ですが、ひとつ注意したいのは、金銭を連年贈与する場合不動産などと異なり、単に妻や子供名義の預金口座に振込むだけでは、事後の税務調査により「贈与はなかったもの」とされる公算大です。

また、「贈与事実」を明らかにしておくために、敢えて基礎控除額を上回る金額(111万円〜)により贈与を行い申告・納付する手法もあるようですが、そのことのみをもって「税務署に贈与事実のお墨付きをもらった」ことにはなりません。具体的には、口座振り込みというかたちで贈与を受けた妻・子が、その口座に係る銀行印や通帳を自ら管理・所有しているといった“事実”が求められてくるため、この点、要注意といえます。