夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを「財産分与」といいます。財産分与により財産を受け取った場合、渡した場合の税務について整理してみましょう。
1.財産を受け取った側の税金 :原則として贈与税、所得税は課税されません。
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贈与税 |
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離婚により相手方から財産を受け取った場合には、通常「贈与税」は課税されません。 |
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ただし、次のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。 |
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《1》分与された財産の額が一切の事情を考慮してもなお過大である場合は、その過大である部分 |
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《2》 離婚を手段として贈与税もしくは相続税を免れるために行われたと認められる場合 |
(2) |
所得税 |
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心身または資産に加えられた損害につき支払を受ける相当部分の慰謝料には所得税は課せられません。 |
(3) |
その他 |
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不動産を譲渡される側は、不動産取得税、登録免許税がかかります。 |
2.財産を渡した側の税金 |
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:財産分与が現金で行われた場合には課税されませんが、土地や建物で行われたときは譲渡所得の課税が行われることになります。 |
(1) |
譲渡所得税の取扱い |
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財産分与として資産の移転があった場合には、原則としてその分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額(時価)によりその資産を譲渡したこととなります。 |
《1》譲渡所得の税率
短期譲渡所得(分与した年の1月1日において所有期間5年以下) |
所得税30%・住民税9% |
長期譲渡所得(分与した年の1月1日において所有期間5年超) |
所得税15%・住民税5% |
《2》居住用不動産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(※)
課税長期譲渡所得金額 |
税率 |
6,000万円以下の部分 |
所得税10%・住民税4% |
6,000万円を超える部分 |
所得税15%・住民税5% |
所有期間が10年を超える居住用不動産を譲渡した場合には、軽減税率適用の特例を受けることができます。
《3》居住用財産の3,000万円の特別控除の特例(※)
一定の要件に該当する居住用財産を譲渡した場合には、その譲渡所得の金額から3,000万円を控除できます。
(※)上記(《2》、《3》の適用にあたっては、財産分与時に離婚が成立していることが要件となります。
(2) |
住宅ローン付財産分与 |
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住宅ローン付財産分与の場合には、一定の要件を満たしていれば住宅ローン控除の適用を受けることができます。 |
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