事業の後継者が相続または遺贈により、取引相場のない株式等の特定事業用資産を取得した場合にはその株式等のうち発行済株式総数の2/3以下に相当する部分について、10億円を限度として10%の減額をする制度があります。この減額の適用を受けるための要件の概要は以下のとおりです。
【特定事業用資産の減額の要件】
適用対象法人 |
発行済株式等の総額が相続税評価ベースで20億円未満の法人
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取得した相続人の要件 |
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申告期限を経過する時にその法人の役員であること
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相続開始の時においてその法人の発行済株式総数の5%以上を所有していること
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被相続人の親族であること
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保有要件 |
被相続人およびその親族、これらの者と特殊関係にある者でその法人の発行済株式総数の50%超を所有していること
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申告要件 |
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申告期限までにその非上場株式が分割されていること
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申告期限まで引続きその取得した株式を所有していること |
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なお、特定事業用資産の減額は、原則として小規模宅地等の特例との選択適用であるため、納税者の選択でいずれかの特例を選択適用することとなります。ただ、一定の限度額計算のもと両制度の併用も可能となります。
上記のように特定事業用資産の減額制度は10億円を限度として10%の減額しか認められていないため、金額的には最大でも1億円の減額にしかならず、全体の90%が課税対象となってしまい、あまり効果的な減額制度とはいえません。さらに小規模宅地等の減額との選択適用であるため、実際には小規模宅地等の減額制度を利用したほうが有利となるケースが多く、実務上この制度が利用されることは少ないのが現実です。
そのような問題があることから、昨今、事業承継協議会等で減額幅を80%に減額すべきであるとの検討が行われており、来年度の税制改正が注目されています。