日本では比較的3月決算の会社が多いため、申告書を提出されてほっとされている経理部署の方も多いと思います。それでは提出期限後に翌期の売上が誤って計上されていることが判明した場合や、当然損金になるべきものが損金に算入されていなかった等の誤り(単純なものに限る)が判明し、税金を多く納めすぎていたことに気付いた場合は、どのような手続きが必要となるでしょうか。
納付すべき税金が多すぎる場合や還付税金が少なすぎる場合には、更正の請求により納めすぎの税金などについて還付を請求することができます。逆に申告書に計算間違いなどの誤りがあった場合で、納付すべき税金が少なすぎる場合や還付税金が多すぎる場合は自主的には修正申告によって誤りを訂正することになります。
更正の請求は次の場合に行うことができます。
1. |
法定申告期限から1年以内に限り税務署長に対して更正の請求がおこなえる場合申告書に記載した課税標準や税額等の計算が法律の規定に従っていなかったり、その計算に誤りがあった場合で、以下の場合
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(1) |
納付した税額が過大となったとき |
(2) |
申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、又は純損失等の金額の記載がなかったとき |
(3) |
申告書に記載した還付金の額が過小であるとき、又は還付金の額の記載がなかったとき |
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2. |
法定申告期限から1年を経過した後に次の事実が生じた場合にはその日の翌日から2ヶ月以内であれば更正の請求が行える場合
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(1) |
税額等の計算の基礎となった事実に争いがあり、その争いの判決により、申告時の事実と異なることが確定した場合 |
(2) |
申告時には自己のものとして申告していた所得などについて、他の者のものとし更正や決定があった場合 |
(3) |
法定申告期限後に生じた一定のやむを得ない理由がある場合 |
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3. |
各税法の特則による場合 |
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税務調査により前事業年度が更正等されたことに伴う更正の請求等
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それでは、更正の請求書の提出期限を過ぎた場合は、還付等は一切できないことになるのでしょうか。その場合は、所轄の税務署長に減額更正の嘆願(お願い)をおこなうことによって職権更正をしてもらえる可能性があります。職権更正が可能な期間は原則として法定申告期限から5年間ですが、法人の場合で純損失等の金額もしくは還付金の金額を増加させる更正については、法定申告期限から7年間とされています。
更正の請求と減額更正の嘆願は、前者が納税者に認められた固有の権利であるのに対し、後者は納税者の権利ではなく、税務署長の裁量を求めるお願いである点が大きく異なります。