昨年12月に令和4年度税制改正大綱が公表されました。その主な内容は次の通りです。
1. 法人税関係
- (1)
- 人材確保等促進税制の改組、所得拡大促進税制の見直し(所得税も同様)
- (1)
- 大企業向け
人材確保等促進税制が改組され、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度において継続雇用者給与等支給額の増加等一定の要件を満たす場合には、給与等支給額の増加額の最大30%を法人税額から控除する措置が設けられます。
- (2)
- 中小企業向け
現行の所得拡大促進税制につき、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度において継続雇用者給与等支給額の増加等一定の要件を満たす場合には、給与等支給額の増加額の最大の40%を法人税額から控除することとされます。
- (2)
- 少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度等の見直し(所得税も同様)
少額の減価償却資産の(10万円未満)の損金算入制度、一括償却資産(10万円以上20万円未満)の損金算入制度、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除きます。)の用に供した資産が除外されます。
2. 所得税関係
- (1)
- 一定の配当等に係る源泉徴収制度の不適用措置
一定の内国法人が令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等で次に掲げるものについては、所得税を課さないこととされ、その配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないこととされます。
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対象となる配当等 |
(1) |
完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に該当する株式等に係る配当等 |
(2) |
配当等の支払に係る基準日において、当該内国法人が直接に保有する他の内国法人の株式等(当該内国法人が名義人として保有するものに限ります。)の発行済株式等の総数等に占める割合が3分の1超である場合における当該他の内国法人の株式等に係る配当等 |
- (2)
- 住宅ローン控除制度の見直し
適用期限が令和7年12月31日まで4年延長されるとともに、控除率(0.7%)、控除期間(入居年及び住宅性能等に応じて13年又は10年)、借入限度額(入居年及び住宅性能等に応じて上限5,000万円)所得要件(2,000万円以下)等の見直しが行われます。
3. 電子帳簿等保存制度に係る宥恕措置の整備
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行う電子取引につき一定の場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができ、また、その出力書面等による保存を可能とする経過措置が設けられます。
4. 財産債務調書制度に係る提出義務者の追加
令和5年分以後の財産債務調書につき、現行の提出義務者(所得金額2,000万円超、かつ、3億円以上の財産又は1億円以上の有価証券等を保有する者)に加えて、所得金額に関係なく10億円以上の財産を保有する者についても提出義務者とされます。
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