新型コロナウイルス感染症の影響により業績が悪化している法人も多いことと思いますが、欠損金が生じた場合には繰越控除又は繰戻還付を受けることができます。なお、繰戻還付は法人税、地方法人税に適用される制度であり、地方税(法人事業税・法人住民税)に繰戻還付制度はありません。
(1)青色欠損金
(1)繰越控除
青色申告書を提出した事業年度において生じた欠損金(以下「青色欠損金」といいます。)は、翌事業年度以後10年間の各事業年度の所得の計算上、中小法人等(注)は各事業年度の所得金額を限度として、中小法人等以外の法人は各事業年度の所得金額の50%相当額を限度として損金の額に算入することができます。
(注)中小法人等とは、期末資本金額等が1億円以下であり、資本金額等5億円以上の法人による完全支配関係がない法人等をいいます。
(2)繰戻還付
青色欠損金が生じた場合、その事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度(一般的には前期)に欠損金を繰り戻して、前期に納付した法人税及び地方法人税の還付を受けることができます。繰戻還付は中小法人等にのみ適用される制度ですが、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置として令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度については、資本金額等が10億円以下の法人(資本金額等が10億円超の法人による完全支配関係がある法人等は除きます)も繰戻還付の適用を受けることが可能とされました。
(2)災害損失欠損金
(1)繰越控除
棚卸資産や固定資産等について災害等により生じた損失にかかる欠損金(以下「災害損失欠損金」といいます。)がある場合には、翌事業年度以後10年間の各事業年度の所得の計算上、損金の額に算入することができます。各事業年度の損金算入限度額は青色欠損金と同じですが、青色申告法人以外の法人も対象となります。
(2)繰戻還付
災害損失欠損金が生じた場合、その事業年度開始の日前1年(青色申告法人については前2年)以内に開始した事業年度に欠損金を繰り戻して、前期(又は前々期)に納付した法人税及び地方法人税の還付を受けることができます。青色欠損金は確定申告のみでの還付手続きですが、災害損失欠損金の繰戻還付は仮決算による中間申告でも適用を受けることが可能です。
【欠損金による相違点】
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青色欠損金 |
災害損失欠損金 |
繰越控除 |
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繰戻還付 |
- 青色申告法人である中小法人等が対象(R2.4.1からのR4.1.31までの間に終了する事業年度については、資本金額が10億円以下の法人も対象)
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- すべての法人が対象
- 青色申告法人は前々期に繰戻し可
- 仮決算による中間申告も適用可
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