平成31年度税制改正において事業承継関連の改正が行われました。
1. 個人版事業承継税制の創設
(1)創設の内容
個人事業者について、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、個人事業者の事業承継を促進するため、10年間限定で、多様な事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」が創設されました。
(2)改正の概要
(1)多様な事業用資産が対象 |
事業を行うために必要な多様な事業用資産が対象
- ○
- 土地・建物(土地は400のm2,建物は800m2まで)
- ○
- 機械・器具備品
例:工作機械・パワーショベル・診療機器等
- ○
- 車両・運搬具
- ○
- 生物(乳牛等、果樹等)
- ○
- 無形償却資産(特許権等)等
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(2)相続税だけでなく贈与税も対象 |
生前贈与による早期の事業承継準備を支援 |
(3)納税額の全額(100%)が納税猶予 |
後継者の承継時の現金負担をゼロに |
(4)10年間の時限措置 |
2019年1月1日〜2028年の12月31日の間に行われる相続・贈与が対象 |
- 注1)
- 制度を活用するためには、(1)経営承継円滑化法に基づく認定が必要、(2)2019年度から5年以内に、予め承継計画を提出することが必要
- 注2)
- 既存の事業用小規模宅地特例との選択制
2. 中小機構出資の事業承継ファンドから出資を受けた中小企業に対する特例
(1)特例の内容
事業承継ファンドを通じた事業承継を一層促進すべく、中小企業等経営強化法に基づく認定を受けた事業承継ファンドを通じて中小機構から出資を受けた場合には、中小機構出資分を大企業保有分と評価しないこととする措置が講じられました。
(2)改正の概要(適用期限:各租税特別措置法の適用期限に準ずる)
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- 資本金1億円以下の中小企業のうち、以下は大企業とみなすこととされています。
(1)発行済み株式等の1/2以上を同一の大規模法人が所有
(2)発行済み株式等の2/3以上を複数の大規模法人が所有
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- 従前は、中小機構も大規模法人に該当することから上記の事例も(2)に該当し、A社は設備投資に係る中小企業税制を適用できませんでした。
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