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209 法人税の申告期限の特例の見直し

平成29年度税制改正により法人税の申告期限の特例の見直しが行われました。

1. 改正の背景

会社法上、株主総会は、毎事業年度終了後一定の時期に招集することが求められており、企業が議決日を定めた場合、その3か月以内に株主総会を開催しなければなりません。

その基準日を決算日と一致させているが故に、3月決算企業は6月末までに株主総会を開催しなければなりませんが、会社法上、決算日を基準日とすることを要請しておらず、基準日を決算日と異なる日に設定することが可能です。一方、法人税法上、法人は、原則として事業年度終了の日(決算日)の翌日から2か月以内に「確定した決算」の基づく申告を義務付けています。また、特例により、申告期限の延長が可能であり、(1)災害等の場合は税務署長が指定した期日まで、(2)会計監査人設置会社等は1か月延長(特別の事情があれば税務署長の指定する月数の期間)が可能です。

今回、コーポレートガバナンス税制の一環として、株主総会の日程を柔軟に設定できるよう法人税の申告期限の見直しが行われました。

2. 改正の概要

(1)
会計監査人設置会社が事業年度終了後3か月を超えて株主総会期日を設定する場合に、最大4か月間の申告期限の延長が認められ、法人税の申告期限を事業年度終了後最大で6か月まで延長することが可能となりました。
(2)
適用時期
この改正は、平成29年4月1日以後の申請から適用されます。

3. 株主総会・申告期限のスケジュール例

例:3月決算企業が8月に株主総会を開催する場合

4. 特例を受けるに当たっての留意点

(1)
特例の適用対象の範囲
本特例は、会計監査人を設置している法人が対象となります。また、本特例の適用を受けるためには、「定款、寄付行為、規則、規約その他これらに準ずるもの」(以下「定款等」)の定めにより事業年度終了の日から3か月以内に定時株主総会が招集されない常況にあることが必要です。
(2)
申請書の提出期限
申請書に定款等の写し及びその他必要となる書類を添付し、本特例の適用を受けようとする事業年度終了の日までに納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
(3)
その他留意点
法人事業税の申告期限の延長の特例を受けるためには、本特例に係る税務署長への申請とは別に都道府県知事への申請が必要となります。