平成22年度税制改正において100%子会社からの一定の配当等の額につき、全額が親会社において益金不算入となったため、改正前に比べ100%子会社からの配当が行いやすくなり、グループ内資金の活用の幅が広がりました。
今回は受取配当金の益金不算入の制度について確認していきましょう。
内国法人が各事業年度において他の内国法人から配当等の額を受けた場合には、二重課税を排除するためにその受けた配当等の額につき、連結法人株式等に係るものはその全額が、関係会社株式等に係るものはその配当等の額から一定の負債利子の額を控除した金額が、それ以外の一般株式等に係るものはその配当等の額から一定の負債利子を控除した金額の50%相当がそれぞれ益金不算入となります。さらに今回の改正において100%子会社の株式等にかかるものはその全額が益金不算入となりました。つまり、配当等の額を受取った法人では配当収入に対し全額もしくは一定の金額に法人税がかからないことになります。
改正前 |
改正後 |
対象となる株式等の区分 |
益金不算入額 |
対象となる株式等の区分 |
益金不算入額 |
連結法人株式等 |
全額 |
連結法人株式等 |
全額 |
関係会社株式等 |
配当等の額から一定の
負債利子を控除した金額 |
100%子会社の株式等 (完全子法人株式等) |
全額 |
関係会社株式等 |
配当等の額から一定の負債利子を控除した金額 |
上記以外の株式等 |
配当等の額から一定の
負債利子を控除した金額 の50%
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上記以外の株式等 |
配当等の額から一定の 負債利子を控除した金額 の50% |
I.対象となる株式等の範囲
対象となる株式等のそれぞれの範囲は次の通りです。
1. |
連結法人株式等の範囲 |
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配当等の額の計算期間の開始の日からその末日まで継続して連結納税を行う連結完全支配関係があった場合の子会社の株式等 |
2. |
関係会社株式等の範囲 |
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内国法人が他の内国法人の発行済み株式等の25%以上を配当等の額の支払に係る効力が生じる日以前6か月以上引き続き保有している場合のその他の内国法人の株式等(上記1は除く) |
3. |
100%子会社株式等の範囲 |
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配当等の額の計算期間の開始の日から末日まで継続して親会社が子会社の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する一定の関係があった完全子法人株式等(上記1、2は除く) |
4. |
上記以外の株式等の範囲 |
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上記1、2、3以外に該当する株式等 |
II.配当等の額の計算期間
配当等の額の計算期間とは主に次に掲げる日から今回の配当等の額の支払に係る基準日までの期間をいいます。
1. |
その配当の額の支払を受ける直前にその配当等の額を支払う他の内国法人により支払われた配当等の額の支払に係る基準日の翌日 |
2. |
前回の配当等の額の基準日の翌日がその支払いを受ける配当等の額の支払に係る基準日の1年前の日以前である場合は、その1年前の日の翌日 |
3. |
その支払いを受ける配当等の額がその支払いに係る基準日前1年以内に設立された他の内国法人からその設立の日以後最初に支払われる配当等の額である場合は、その設立の日 |
III.適用時期
平成22年4月1日以後開始する事業年度の所得に対する法人税から100%子会社株式等からの一定の配当等の額が全額益金不算入となり、同日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については改正前の取扱いとなります。なお、平成22年4月1日以後に開始する事業年度において支払いを受けた配当等の額について、その計算期間が同日前に開始していた場合でも、計算期間を通じて上記I.3の100%子会社株式等の範囲に該当すれば、 改正後の全額益金不算入が適用されます。
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