ここ数年、毎年税制改正されている証券税制は、平成21年分から適用される事項等もあり、平成21年分の所得税の確定申告において留意が必要です。
1.上場株式の譲渡損失と配当所得の損益通算
平成21年分の所得税の確定申告から、上場株式等の譲渡損と配当等との損益通算が可能となりました。損益通算をする場合の配当所得は申告分離課税による申告に限られるとともに、確定申告書の提出が必要です。
2.損益通算するための配当所得の申告
配当所得とは、株主等が法人から受ける配当や投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配に係る所得をいいます。
配当所得は原則として総合課税の対象となる所得ですが、平成21年分の申告より上場株式の譲渡損失と配当所得との損益通算が可能となったことから、上場株式の配当等については申告分離課税の選択ができるようになりました。なお、申告分離課税による税率は、所得税7%、地方税3%となります。
申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用がないことに留意が必要です。
3.上場株式の譲渡損失と配当所得申告との課税関係
上場株式の譲渡損失と配当所得の申告に関する課税関係等をまとめると次のとおりとなります。
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確定申告する |
確定申告しない |
総合課税を選択 |
申告分離課税を選択 |
申告不要制度を選択 |
適用税率 |
累進税率 |
所得税7%
地方税3% |
所得税7%
地方税3%
(源泉徴収税率) |
配当控除 |
適用あり |
適用なし |
なし |
上場株式の譲渡損失
との損益通算 |
適用なし |
適用あり |
なし |
扶養控除等の判定 |
合計所得金額に
含まれる |
合計所得金額に
含まれる |
合計所得金額に
含まれない |
(出典「国税庁ホームページタックスアンサーNo.1331 上場抹式等の配当所得に係る申告分離課税制度」)
4.損益通算と繰越控除
上場株式等の譲渡損失は、最初に他の株式等の譲渡所得から控除します。控除しても控除しきれない上場株式の譲渡損失は、次に申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得と損益通算します。そして、損益通算してもなお控除しきれない金額については、翌年以降3年間にわたり、株式等に係る譲渡所得の金額から控除し、なお控除しきれない損失は上場株式等に係る配当所得の金額から控除します。
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